宝石型リザードン解説

宝石型リザードン

良い点

イージーウィンの再現性が高い

インフェルノX収録「ヒカリ」を最も強く使えるデッキと言っても過言ではない。ヒトカゲとホーホーが場にいる状態で、ヒカリを使用→水オーガポン、ヨルノズク、リザードンexをサーチ。ヨルノズクの【ほうせきさがし】を使い、「きらめく結晶」と「ふしぎなアメ」をサーチすれば、いきなり水オーガポンexの『げきりゅうポンプ』が使える。その後も「アカマツ」で連打もできるため、イージーウィンの再現性が高い。

高火力を出しやすい

メガリザードンXexでメガ進化ポケモンや2進化ポケモンexを一方的に倒すことができる。
特にこのデッキは水オーガポンexが倒されたあと。『バーニングダーク』のダメージが240ダメージの時間帯の戦い方が難しかった。そこに1つ強力なアクションが加わっている点が評価できる。

悪い点

グッズロックで明確に1ターン遅れる

ヒカリの登場によって以前よりもグッズロックに強くはなったものの、依然としてエネルギー加速を【れんごくしはい】に頼っているため、グッズロックを受けると攻撃に移るターンは明確に1ターン遅れる。
盤面を固めきらないまま攻撃しても、結局単発で終わるため、盤面を作ってから攻撃したい…。しかし、正直【れんごくしはい】に辿りつけただけまだマシ、と感じるほどグッズロックに弱い。

ドロー手段に乏しく、手札が細い

その時々に応じて必要なカードをピックするデッキであるため、手札の枚数は常に少ない。
つまり、ヨルノズクとピジョットはこのデッキのエンジンそのものであり、ここを断たれるということは、すなわち継戦能力を失うことと同義である。

各対面解説

ドラパルトex

グッズロック下でどれだけ盤面を整えられるかが勝負になる。また、グッズロックを乗り越えたとしてもピジョットexがいなければ後半の手札干渉連打で沈んでしまうため、なんとかピジョットexに着地して手札干渉に強い盤面を作りたい。つまり、グッズロックとピジョット着地という2重のハードルを越える必要がある。

フリーで動くことができれば、序盤は水オーガポンでの押し切り、後半はメガリザードンXexはドラパルトexを一方的に倒すことができるため、パフォーマンス関連はドラパルトに対して有利なコンセプトの盛りだくさんで圧倒できる。ただし、それは”フリーで動くことができれば”、という激重の但し書きの果てにある。

宝石リザードンは『げきりゅうポンプ』でのイージーウィンを狙う都合上、先攻を取るデッキである。そのため先攻1ターン目にポケモンが並ばなければ、グッズロックを越える手段はもうない。

10回やれば9回は負けるであろうマッチアップ。1回でも止まればドラパルト側は絶対に見逃してくれません。他のマッチアップを頑張るぞ。

サーナイトex

序盤は水オーガポンいどのめんでのキルリア2面抜き、中盤以降はリザードンexでのサーナイトワンパンがあり、かなりの有利に立ち回ることができる。
サーナイト側のリザードンexの攻撃をメガディアンシーexで耐えるプランすらもメガリザードンXexで上から叩ける。

サケブシッポでホーホーを狙撃される+手札干渉からのビタ止まりが唯一の懸念事項。ピジョットexを作って手札干渉に備えを作ることができれば盤石。

タケルライコex

1ターン目に非ex盤面を組み、サイドを1枚取らせてから2-2-2カウンターを仕掛ける。2024年から何度も繰り返されているVSタケルライコ戦の原点。

この「サイドを1枚取らせてからの2-2-2カウンター」は、現代ポケモンカードにおける基礎的なサイド交戦となる。
特にポケモンexを主体とした高速ゲームにありがちな展開である。手札干渉などのさまざまなノイズが煙幕となって透けにくいだけであり、「これって結局、紐解いていけば“1取らせてからの2-2-2を最速で歩むゲーム”だよね?」という結論に至るゲームは決して少なくない。

リザードンVSタケルライコも、実際にはリザードン側がサイドを1枚取らせてからの2-2-2カウンターゲームである。しかし、近年のリザードンVSタケルライコの実態を「2-2-2ゲームだよね」と語る人は皆無であり、そのような視点からゲームを分析したプレイヤーは少ないだろう。

ではなぜリザードンVSタケルライコのゲーム体系が「2-2-2ゲーム」から離脱したのか。

それは、2025年版リザードンの劣化にある。
2024年版のリザードンVSタケルライコは典型的な「2-2-2ゲーム」であった。しかし、2025年からはリザードン側の回転を担保していた主要パーツ(森の封印石、ロトムVなど)が軒並みレギュレーション落ち。リザードンexとピジョットexを揃える動きが安定せず、2ターン目にサイドを2取る動きが格段に難しくなった。

結果として、リザードン側は”どこかでリザードンexが攻撃を耐えるターン”を作ったり、”イーユイを絡めてサイドの有利トレードを狙う”など、後手から捲る戦法を要求されるようになり、2025年版のリザードンVSタケルライコは単純な「2-2-2ゲームです」と総括しにくい状況に至る。

ただし、こと宝石型リザードンだけは例外。
このデッキはレギュレーション落ちでの被害はほとんど受けておらず、高速の「2-2-2ゲーム」を最も得意とする異端の2進化デッキである。
グッズロックに弱すぎること、そしてドラパルトの多さというメタ的要因で沈黙を貫いていただけであり、パフォーマンスレベル自体は下がっていない

したがって、このマッチアップは元来どおり、昔懐かしの「サイドを1枚取らせてからの2-2-2カウンター」で決着をつけるゲームである。

サーフゴーex

サーフゴー側のバトル場がコレクレー、ベンチにもコレクレーが並ぶようなら『げきりゅうポンプ』。それ以外はリザードンexの『バーニングダーク』で高耐久を押し付けていく。

転送PRO型でない限り、2ターン目のリザードンexを突破されることはまずない。
リザードンexを前に押し付けてエネルギーを使わせ、最後にメガリザードンXex+手札干渉で詰めるのが最も勝ちやすい。

ワンパン系に弱いと言われるメガ進化ポケモンだが、このメガリザードンXex。実はサーフゴーexにとってかなり高い障壁となる。
というのも、メガリザードンXexのHPは360もあり、この数値はスーパーエネルギー回収2枚では届かない(手張り+7枚ゴールドラッシュで350)。
サーフゴー側が「元気のハチマキ」を不採用、あるいは序盤で雑にコストにしてしまうと、かなりの確率でワザを耐える。ここで耐えてくれれば勝ち、耐えなければ負けのバトルになる。
そして、さすがにHP360は伊達じゃないと思わせてくれる対戦が多かった印象。

ちなみに、サーフゴー側がキチキギスexやゲノセクトexでスタートすると宝石リザードンではサイドを取る手段がないため、実はかなりめんどくさい。

マリィのオーロンゲex

序盤からのオーロンゲのビートに、ユキメノコの【いてつくとばり】とマシマシラの【アドレナブレイン】が絡み、最終的にサイドをまとめ取りされるか、『デヴォリューション』で盤面を崩される、かなり厳しいマッチアップ。

頼みの綱であるメガリザードンXexでオーロンゲexをワンパンしたとしても、その間に【いてつくとばり】で場にダメカンが乗ってしまう。
かといってユキメノコを集中的に狙っても、その間に『シャドーバレット』でダメカンをばら撒かれてしまう。どのプランを取ったとしても後出しで対応されてしまうため、宝石リザードンはデッキ構造上で不利を背負っている。

リザードンex【ピジョット型】

序盤から水オーガポンexでベンチ狙撃を仕掛け、ヒトカゲを枯らすか、ピジョットexに進化させないことを目指す。
先にサイドを先行してしまえばメガリザードンXexがリザードンexをワンパンで倒してくれるため、強気にプレイできる。このように、本来リザードンexが相手の攻撃を1回耐えてくれることをアテにしている立ち回りに対して無類の強さを発揮するのがメガリザードンXexの良い点。

十中八九相手は後攻を選んでくる+シェイミ不採用のため、水オーガポンexで大暴れできる。

メガアブソルex

オーガポンいしずえのめんexで詰ませにくるマッチアップ。だが、宝石リザードンにはメガリザードンXexの採用が多いことは周知されているため、実際にはアブソルexでお祈りハンデスを仕掛けてくるだろう。
ただし、こちらの方が速度で上回っていること、ハンデスを受けてもピジョットexがいれば毎ターン欲しいカードを持ってこられること、そしてメガリザードンXexですべてのポケモンをワンパンで突破できることから、総合的には有利なマッチアップ。
2ターン目から『バーニングダーク』180ダメージでポコポコ攻撃しているだけで、アブソル側はかなり苦しそうになる。

リザードン側の手札はずっと細いため、ハンデスがとにかく刺さる。ピジョットexがいない状態で、ヨルノズクを引っこ抜かれると最悪である。必ずピジョットexを用意すること。

まとめ

従来の宝石リザードンと比べ、「ヒカリ」により盤面形勢能力と序盤の再現性が大幅に向上した。依然までの宝石リザードンで『げきりゅうポンプ』を宣言するコンセプトは、少し理想ムーブ寄りの夢追いデッキだった。しかし、今やその不安定さは解消され、実践に導入されてもなんら違和感なく機能する。

あまりにもグッズロックに弱すぎるため、多少謙虚な立ち位置に甘んじるしかない現状ではある一方、シェア率が低空飛行しているがゆえに『げきりゅうポンプ』の通りが良いという恩恵に与れている。

つまり、このデッキはパンチが見えているのにも関わらず、避けられない人。そんな人を殴りに行くデッキである。

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