
良い点
環境デッキの中に必勝と呼べる対面が存在する
現環境ではサーフゴーexをはじめとした特性持ちアタッカーが多く、それらをオーガポンいしずえのめんexで完封することができる。
これだけだと一般的なメタビートと大きな違いはないが、メガアブソルexでハンデスしながら果敢に攻撃できる点(つまりアタックが強い)が明確な差別化要素となっている。
1枚から盤面を展開できる
ペパーさえあればプレシャスキャリーとワザマシン『エネジーターボ』を手札に加えることできる。場の展開とエネルギー加速を同時に行えるため、容易に理想的な盤面を組むことができる。ラティアスexがいれば、スタートポケモンに関係なくマシマシラにエネルギーを貼りながら『エナジーターボ』を使用できる点も評価。
強制気絶が狙える
メガアブソルexのワザ『デスピリオド』での強制気絶が狙えるため、対マシマシラゲームに滅法強い。
悪い点
グッズロックに弱い
後攻1ターン目にグッズロックを決められると、プレシャスキャリーが使えないため盤面を組むことができない。ポケモンを並べるだけで一通りの形は作れるため、立ち上がりのハードル自体は低いが、一度ロックが刺さるとポケモンを並べることは困難。
青天井ダメージが厳しい
サーフゴーexに対してはオーガポンいしずえのめんexで対応できるが、ソウブレイズexやタケルライコex、リザードンXex相手には厳しい戦いを強いられる。イベルタルで縛るプランも取れるものの、ソウブレイズやリザードン側にはジェットエネルギーやフトゥー博士のシナリオ、タケルライコにはプライムキャッチャーやテツノイサハexの採用があるため、粘り勝ちも狙えない。
(この辺の懸念があるにも関わらず、本当にGOサイン出ているか?と個人的には首をかしげる)。
サイドレースの押し付けが弱い
倒されるとサイドが1枚取られるポケモン、2枚取られるポケモン、3枚取られるポケモンがフルに並ぶため、サイドを効率良く取られてしまい、「サイドを8枚取らせる」というフルパワーサイドレースの押し付けが難しい。
特にメガガルーラexとメガアブソルexは、どの対面でもほぼレギュラー選出されるポケモンであるため、サイドを『3-3』と取られてあっけなく敗北する展開も少なくない。
各対面解説
ドラパルトex
ドラパルト側にとって、アブソルはオーロンゲとのマッチアップに近しい雰囲気を持つ。
アブソル側が鉄壁になればドラパルト側は成すすべもないが、少しでもコケるとドラパルト側が勝つ。そして、アブソルがコケる時はオーロンゲよりも激しくコケる印象。
ペパーから展開し、ワザマシン『エナジーターボ』でメガアブソルexやマシマシラを育成しながら、相手のドラパルトexに備える。
コダックを場に出すことで【カースドボム】によるワンパンがなくなり、さらにマシマシラを複数体準備できる点、そしてメガアブソルexの『デスピリオド』でドラパルトexをワンパンできる点から、アブソル側には一通り、ドラパルトに対して有利な要素が組み込まれている。
一見するとアブソル側がかなり有利に見えるが、グッズロックが刺さったり、即出しジャミングタワーを割り返せなかったり、アブソルexの育成が間に合わなかったり、コダックがサイド落ちしたり等、何かしらのジョーカーを引いてしまうと形勢は一気にドラパルトに傾く。
また、ドラパルトには裏呼びの手段が豊富なため、サイドを6枚ちょうどで取り切りやすく、アブソル側のサイドレースの脆弱性を突かれればあっけなく敗北する。たとえば、マシマシラ・メガアブソルex・モモワロウexの順に1-3-2でサイドを取れば、通常通り3回の攻撃でゲームを終わらせることができる。
さらに、現在のドラパルトは「博士の研究」でガンガン掘り進める構築から一転し、「リーリエの決心」や「ヒカリ」を採用した、リソースを重視したデッキタイプへと回帰している。そのため、いくらハンデスを仕掛けても、2~3回の攻撃ではリソースをすべて枯らすには至らない。
ドラパルト側がマシマシラのきぜつから試合を動かしてくる間に、アブソルexを2体育ててボタンループの準備を整えられなければ、押し切られてしまう。
デッキレシピからほとばしる、ドラパルトへの殺意を存分に活かしきれないことが多い印象だ。
総じて『どちらも立ち回りが難しい、もっとお互いのことを知ったほうが良い』というのが率直な感想。
コダックを採用したオーロンゲに対してドラパルトが有利だと考えるなら、アブソルも同様に有利。不利だと考えるなら、アブソルも同様に不利。概ね似たような所感である。
サーナイトex
メガアブソルexでハンデスしながら、相手のリソースを削り取ることを狙う。
サーナイト側にはは盤面にドローソースとなるポケモンがいないため、ハンデスしながらビートするだけで押し切れる展開が多め。
サーナイト側のマシマシラが2面以上育っている場合、ミュウexにメガアブソルexのワザ『デスピリオド』をコピーされ、ワンパンされてしまうリスクがある。メガアブソルexにはミストエネルギーを貼って対策。
タケルライコex
かなりやりたくないマッチアップ。
スピードで押し切られるためエネルギーが追いつかず、タケルライコexを止めきれない。
イベルタルで相手を縛ってターンを稼ぐ立ち回りを強いられるが、プライムキャッチャーとテツノイサハexの【ラピッドバーニア】で2回、縛りを解除されてしまうため、徒労に終わる。さすがに今週からのタケルライコにテツノイサハexはマストで採用されてくるだろう。
現環境ではタケルライコexの数が減少傾向にあるため、総合的には立ち位置は悪くない。
が、アブソルが派手な活躍をしていると痛い目を見せられそう。眠れる獅子を起こすな。
サーフゴーex
オーガポンいしずえのめんexはサーフゴーexからダメージを受けないため、実質的にソルロックとの勝負となる。マシマシラの【アドレナブレイン】によってソルロックのダメージを回復しながら戦えるため、この対面では非常に有利に立ち回ることができる。サーフゴー側に何らかのメタカードが採用されていない限り、負けることはほぼない。
この悪鬼『サーフゴー』の現在の構築思想、構築バランスをアブソルがかき乱すことができれば、再び環境は大きく動き出すだろう。
マリィのオーロンゲex
相手のアタッカーが特性持ちしかいないため、オーガポンいしずえのめんexで攻撃していく。
メノコマシラコンセプトによってオーガポンexにダメカンを乗せられてしまうものの、アブソル側もマシマシラを展開できる点、ボスの指令を多く採用している点、ボタンでダメージをリセットできる点から、有利に試合を進めやすい。ふつうにアブソルで攻撃しても強く、構築単位で有利を取っている。
リザードンex
ボム不採用デッキが増えているため、オーガポンいしずえのめんexが突破されにくいマッチアップ。ただし、日本の環境ではメガリザードンXexがリリースされており、これに対してはオーガポンexは無力。
オーガポンexでの詰ませコンセプトに頼ることはできなくなり、そうなるとアブソル側は盤面を広げざるを得ない。日本と海外環境の差異が出ており、一筋縄ではいかないだろう。
リザードン側には後出しで対策できる余地が残されている。
ソウブレイズex
オーガポンいしずえのめんexで止まらない青天井デッキであり、ジェットエネルギーやフトゥー博士のシナリオで縛るプランも取りづらい。
勇気のおまもりとエキサイトスタジアムで『しんえんほむら』を耐えれるかどうかのマッチアップ。海外環境にはまだ無い「ヒートバーナー」が気がかり。
まとめ
海外環境と日本環境の差が如実に表れている。日本では風雲児さながらの持ち上げられ方で世間の耳目を集めているが、冷静によく考えれば結構ヤバそうな新規案件、多くないか?というのが率直な感想である。(特にメガリザードンXexや縛る時間が足りないこと等)
一通り対面してみた個人的な感想としては、
『マッチアップした時点でほぼ敗北が確定するような対面が環境に存在する以上、アブソルがTier1デッキとなることは絶対にありえない。どれほど日本の環境に馴染めるかを見極め、その後ゆっくり対策すれば問題ない』という心証を得た。
記事内で記した考察はあくまで現時点10/16【木】での見解であり、今後の環境変化によって内容は変わる可能性があること、あらかじめご容赦ください。(環境が変化する以上、私の見解も変わります、変わらなかったことないです)。
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