シロナのガブリアスex解説

【シロナのガブリアスex】ジムバトル優勝デッキレシピ
11/15【土】宝島 高蔵寺店(愛知)-2TOP16

良い点

・サーチ効果による盤面形勢能力が高い
シロナのガバイトの特性【おうじゃのよびごえ】によって、毎ターン安定してシロナのポケモンをサーチできる。この特性のおかげでボール系カードが少なくても盤面を作りやすい。

・メガシンカ並の耐久力を持つ
シロナのパワーウェイトを付けることで、シロナのガブリアスのHPは400となり、その耐久はメガシンカポケモンをも凌駕する。さらにパワープロテインとシロナのロズレイドによるバフもあり、数字だけを切り取って判断すれば、HPとダメージの総合力は環境で最も高い。

・自由枠が多くカスタム性が高い
シロナのガバイトの特性によってボール系カードを減らせることに加え、ガブリアスexは単体でも十分戦えるため、メタカードを採用する余裕が生まれ、環境に合わせて柔軟に構築を変えられる。実際、過去にはメノコマシラを組み込んだガブリアスが主流だった時期もあり、一見テキストと相反しそうなコンセプトでも問題なく成立する。

さらに『スクリューダイブ』はエネルギー1枚で手札を補充できるワザのため、ガチガチのコントロール寄りの構成も作ろうと思えば作れる。レギュレーション変更で青天井ダメージデッキが減れば、現実味は十分ある。

悪い点

・ダメージが出せるターン、出せないターンが透ける
シロナのガブリアスは1エネルギーのワザと2エネルギーのワザのダメージが大きく変わるポケモン。ガブリアスデッキはエネルギー加速手段を持たないことから、相手視点からでも「このターンは安全」「このターンは危険」という予測が立てやすい。

・システムポケモンが盤面にいないため手札干渉に弱い
シロナのポケモンはサーチできるため盤面の完成は安定するデッキだが、これはあくまで「ドロー」ではない。よって、手札干渉を受けた後にサポートやエネルギーを引けるかどうかは常に怪しく、ここが致命的な弱点となる。
ポケモンカードにおいて、最後に「エネルギーを引けるか勝負」に持ち込まれるのは最悪のマイナスポイント。数多のデッキがこの因果に抗えず敗北してきた歴史がある。そのため昨今では、エネルギー加速手段を備えたデッキだけが安定して上位に残る。

裏を返せば、エネルギー加速手段を持たない限り、シロナのガブリアスは上位に到達し得ないとも言える。最後にエネルギーを要求されるという事実は、それほどまでに重いハードルであり、運命力では決して乗り越えられない障壁である。

ストイックに取り組むのであれば、このようなハードルを作られた時点で”負け”と考えるべき。たとえエネルギーを引いて勝利を収めたとしても、お相手は「プレイングで負けた」とは納得しない。重要なのは、そもそもハードルを作らせないこと、そして手札干渉をさせないような立ち回りを意識することである。(ただしこの考え方は人によっては煙たがられるため、取り入れるならあくまで自己完結の範囲に留めたい。)

各対面解説

サーフゴーex

順当に戦えばエネルギーテンポの関係上勝てないため、HP400を囮にしてリククラゲの特性【ねんきんコロニー】で詰ませることを目指す。
序盤にリククラゲを出してしまうと先に倒されてしまうため、HP400のシロナのガブリアスが倒された返しに『エヴォリューション』でリククラゲへ進化する。

サーフゴーデッキはすごいつりざおよりもスイレンのお世話の方が採用率が高いため、サーフゴー側のエネルギーの落ち方次第ではリククラゲに進化するだけで勝てるパターンもある。逆にリククラゲを採用していない場合は、序盤からサイドを進められる上、頼みの綱のシロナのガブリアスもワンパンされ、かなり厳しいマッチアップになる。

ただ、HP400の押し付けはサーフゴー側にとって単純に重たいハードル。サーフゴー側が400ダメージを出すにはスーパーエネルギー回収2枚では解決していないため(手張り1枚、トラッシュ7枚で350ダメージ)、他の2進化と同じような立ち回りで戦っているサーフゴー相手にはバグを期待できるかもしれない。(望み薄だが、縋るものがないもないよりかはマシ)

リザードンex

HP400をワンパンするには特性【カースドボム】を絡めないといけないため、ヨマワルラインを倒して行けば有利に試合を進められる。
中途半端なダメージを刻まれた際は、シロナのロズレイド込みのシロナのミカルゲでサイド2を取れるシーンも多く、環境デッキの中ではかなり戦いやすい。しかしヨマワルラインを取れないとHP400がワンパンされ、エネルギーテンポも追いつかなくなるため、ボスの指令を必要なタイミングで引き込めるかが勝負を分ける。

このマッチアップに革命を起こしているのは【カースドボム】であるため、ここさえ押さえればゲームは有利に進む。

ドラパルトex

グッズロック下でもシロナのガバイトまで到達すれば盤面を作ることが可能。しかし、盤面は作れるが、グッズロック下では肝心のエネルギーが遠い。早めにエネルギーを確保できれば嬉しい。

ジャミングタワーでパワーウエイトの効果は期待できないため、カースドボム+ファントムダイブでワンパンされないよう、ヨマワルから倒していきたい。

ドラパルト側のスタジアムはジャミングタワーだが、ガブリアス側はバトルスタジアムで対抗できる。→そのためドラパルト側はジャミングタワーを大事にしたい。→しかし、あまり大事にしすぎるとガブリアス側にダメカンが蓄積してしまい、ミカルゲの『レイジングカース』によるカウンターが待っている。という、スタジアムを介した絶妙な駆け引きがあり、なかなかの空中戦が渋い。

サーナイトex

このマッチアップは終始サーナイト側のサケブシッポが強い。シロナのロズレイドやエネルギーをつけて育てたガバイトやガブリアスexへ先殴りなど、狙撃場所を選び放題なのがズルい。

ガブリアス側はロズレイドが生き残っているうちにサーナイトexのワンパンを狙いたい。しかし、サーナイトexに手を下せばサケブシッポが生き残ってしまうという地獄の二択を常に強いられ、サーナイトは2体同時気絶手段を持たないガブリアスデッキの構造上の弱点をここぞとばかり突いてくる。

アンフェアスタンプやナンジャモでの手札干渉が決まり、バトル場との1対1勝負に持ち込んでガブリアスexの耐久力を活かせるような展開にしなければ、基本的にはサーナイト側のやりたい放題。

サーナイト側にとって見た目以上にHP400は重い。重いが、それはあくまでまともに組み合ってくれたらの話である。

タケルライコex

順当に戦えば勝つことは難しいマッチアップ。
ロケット団の監視塔とアンフェアスタンプでタケルライコ側の動きを阻害してようやく抗えるようになる。世のデッキレシピでアンフェアスタンプ型が多いのはタケルライコを意識してのことだろう。コンセプトのぶつかり合い自体で敗北しているため、ガブリアスは多くのスロットをタケルライコ対策に割かなければならない。

ロケット団の監視塔と手札干渉で一方的にボコボコにする以外の勝ち筋がなく、このような要素を採用していなければタケルライコに勝つためのチューニングをしているとは言えないだろう。

ソウブレイズex

HP400をワンパンしようとするとトラッシュにエネルギーが19枚必要なため、ガブリアスをワンパンすることはできない。(仮に達成できたとしても再現性は皆無で、このような確率は二度訪れない。)
一度でも攻撃を耐えれば、シロナのミカルゲでのカウンターや、『リューノブラスター』でのワンパンによって一気に有利を取れる。
すべてのポケモンを早々と進化させ、ソルロックでサイドを稼がれなければ、ガブリアスとのタイマンで勝ち切ることができる。

メガアブソルex

モモワロウexやメガガルーラexを闘弱点でワンパン出来るためサイドは進めやすいが、イベルタルで逃げロックをされると詰む。
そのためポケモン入れ替えを温存したり、アタッカー以外を進化さないことで、進化で逃げロック解除をする工夫をする。順当に殴り合えば負けないため慌てないこと。

まとめ

デッキ構築の細部がまだ定まっておらず、対面していてもどんなカードが飛んでくるか予測しづらいデッキである。カスタマイズ性と単体性能の高さから、環境でも一定以上戦えるという心証を得た。
ただし、手札干渉後の手札の細さや、ダメージラインが読みやすい点から、シロナのガブリアスへの立ち回りを理解している相手には動きを制限されやすく、順当に負ける試合も多い。課題はやはり、エネルギーテンポが重要であるにもかかわらず、エネルギーの絶対的な総量が少ないことだろう。

シロナのガブリアスデッキ自体があまりマークされていないため、シロナのミカルゲの存在を相手が失念していることがある。相手がミカルゲを失念しているかどうか、その見極めの言語化は難しいが、細かい挙動や所作、その判断に至るまでの速度など、察することができる場面は確かにある。このような盤外戦術が1つ用意されているのは面白い。

ガブリアスを使い続けているプレイヤーは、デッキタイプそのものを好んで選択しているケースが多い印象。Tier3帯ならではのステルス性と、その愛ゆえの練度が合わさり、環境で一定の存在感を誇示し続けている。

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